その他の乗り物について「自転車乗車中および歩行中のリスク」

自動車乗車中以外のリスクとは

交通事故に遭うのは、自動車乗車中だけではありません。

自転車走行中や歩行中の場合も、基本的には自動車と同じように人的リスク(自分がケガをするリスク)や損害賠償リスク(他人にケガを負わせる、財物を壊すまたは損害を与えるリスク)を抱えています。

交通事故の発生状況を確認しよう

交通事故による負傷者がどのような状態で事故にあったかを、年齢別に表したグラフをみてみましょう。

全体的には自動車乗車中の事故が多いのですが、10〜14歳、15〜19歳を見てみると、自転車乗車中の事故が非常に大きな割合をしめています。また、年齢が上がるにつれて、歩行中の事故の割合が多くなっています。

表1 年齢層別・状態別負傷者数(構成率)(平成29年中)

表1 年齢層別・状態別負傷者数(構成率)(平成29年中)

出典:警察庁交通局 「平成29年中の交通事故の発生状況」 より

近年増加傾向にある自転車事故

表2 自転車の交通事故件数の推移

表2 自転車の交通事故件数の推移

※指数は平成19年を100とした値である。

出典:警察庁交通局「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」 より

平成19年からの10年間を見てみると、少しずつ事故数は減少傾向にあります。しかし自転車対歩行者の事故件数については減少幅が少なく、2017年度(平成29年)には増加に転じています。特に若い自転車運転者(24歳以下)と高齢歩行者(65歳以上)との事故が多くなっているようです。

自転車事故の相手は対自動車が84%、そのうち出会い頭の衝突が54%をしめています。自動車事故をふくむ交通事故全体では出会い頭の事故がしめる割合は24.5%なので、それに比べると非常に高い数字になっています。

原因は自転車側に安全不確認や一時不停止などの法令違反が多いためといわれています。交差点での安全確認、歩道での歩行者優先など、交通ルールを運転者に守ることで、事故のリスクを減少できると考えられます。

また、自転車乗用中に死傷する「人的リスク」を回避するのに有用なのはヘルメットを着用することといわれており、着用しないときの致死率は着用時に比べて約3.3倍高いといわれています。

表3 「自転車対自動車」事故の類型別事故件数

表3 「自転車対自動車」事故の類型別事故件数

出典:警察庁交通局「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」 より

自転車事故の高額賠償リスク

自転車乗用中の事故は、自動車と比べると軽いものに思われる傾向にありますが、実際は非常に高額な賠償を求められることがあります。

表4 自転車加害事故高額賠償判決例

判決認容額※事故の概要判決年月日・裁判所
9,521万円

男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。

女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。

平成25(2013)年7月4日

神戸地方裁判所

9,266万円

男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道をななめに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。

男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失など)が残った。

平成20(2008)年6月5日

東京地方裁判所

6,779万円

男性が夕方、ペットボトルを片手にくだり坂をスピードを落とさずに走行し交差点に進入。

横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。

女性は脳挫傷などで3日後に死亡した。

平成15(2003)年9月30日

東京地方裁判所

※判決認容額とは、上記裁判における判決文で加害者が支払いを命じられた金額です。(金額は概算額)上記裁判後の上訴等により、加害者が実際に支払う金額とは異なる可能性があります。

出典:日本損保協会ホームページ「自転車事故と保険」 より

このように自転車事故は、高額な損害賠償請求をされることがあります。

自動車と違い、自賠責保険のような強制保険がないので、自分で保険に加入して対応する必要があります。しかし、歩行者が死亡・重症の事故における調査では、加害者となった自転車運転者のうち、損害賠償保険等の加入は60%にとどまっていました。(警察庁「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」より)

近年、一部の地域において自転車保険の加入が義務づけられています。万が一のリスクにそなえることももちろん重要ですが、一番大切なのは、自分でできるリスク回避策(交通ルールの遵守・ヘルメットなどの着用)を徹底することでしょう。

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駒野彩子(K&Bプランニング小澤美奈子監修)