年金は何歳から?

  • 更新日:

    (公開日:2020/06/15)

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年金は何歳から?

日本では、公的年金制度が確立されていて、老後生活のための「老齢年金」、病気やケガで障害が残ったときの「障害年金」、死亡した際に遺された家族の生活を支える「遺族年金」があります。
何歳から年金保険料を支払い、何歳で老齢年金がもらえるのでしょうか。
「年金なんて遠い先の話」と考えていると、老後の資産形成を見誤る可能性があります。

今回はそんな素朴な疑問について解説していきます。

保険料の支払い開始年齢は?

年金保険料は何歳から支払うことになるのでしょう。
国民年金と厚生年金を分けて考えていきましょう。

・国民年金(基礎年金)

20歳から60歳未満の方は国民に年金に加入することが義務付けられており、保険料を支払う必要があります。
年金額は20歳から60歳まで40年間の保険料納付期間等により計算され、すべての期間で保険料を納めれば「老齢基礎年金」(金額は以下参照)の満額を受け取ることができます。

令和5年度 老齢基礎年金:月額66,250円(年間795,000円)

未払い期間があれば、満額からその分が差し引かれます。
以前は資格期間が原則25年必要でしたが、平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢基礎年金を受け取ることができるようになりました。

国民年金の保険料は、毎年度見直しされ、加入者に通知されます。令和5年度の国民年金保険料は、月額16,520円です。

受給開始年齢は現時点では65歳からですが、今後さらに受給年齢が上がるかもしれません。

・厚生年金

厚生年金とは、国民年金の「第2号被保険者」に該当するサラリーマンや公務員などが加入する、基礎年金に上乗せされて支給される、いわゆる”二階建て部分”の年金です。
厚生年金は、厚生年金が適用されている事業所(会社など)に勤める70歳未満の人は、本人の意思に関係なく加入することになります。保険料の支払い義務は、加入手続きと同時に発生します。

厚生年金の保険料は会社と被保険者が折半で負担します。また、保険料の額は国民年金が定額であるのに対し、厚生年金保険料は報酬額に応じて決められます。

(日本年金機構HPより引用)
厚生年金の保険料率は18.300%ですので、折半額の9.150%が被保険者の負担額として給料から天引きされます。(2023年7月時点)

「厚生年金は払っているが国民年金は払っていない」とおっしゃる方がおられますが、心配する必要はありません。
厚生年金の被保険者は、国民年金の第2号被保険者として国民年金にも加入しており、その保険料は加入している厚生年金保険が負担しています。

保険料の支払いが免除される場合がある?

公的年金制度では、経済事情などを理由に保険料の支払いが免除される場合があります。
国民年金と厚生年金とで条件が異なるので、ここでは分けて説明します。

・国民年金の場合

国民年金には「保険料免除制度・納付猶予制度」があります。
収入の減少や、失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合に認められる制度です。

経済的な理由で、保険料未納のまま放置する方もいますが、絶対にやめましょう。
経済的に余裕がない場合、速やかに「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行うのが得策です。
未納期間があると将来受け取れる年金額が減るだけではなく、障害基礎年金や遺族基礎年金が受給できない可能性があるからです。保険料免除・納付猶予の手続きをしておけば、万が一保険料免除・納付猶予の期間中にケガや病気で障害を負った場合や亡くなってしまった場合でも、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます(※1)。
※1 障害基礎年金および遺族基礎年金を受け取るためには一定の受給要件があります

また、大学・短大・専門学校などの学生には「学生納付特例制度」があり、本人が申請すれば保険料の納付が猶予される制度があります(※2)。
※2 在学中であること、前年度の所得が基準額以下であることなどの要件があります。なお、学生の場合は他の保険料免除・納付猶予制度は利用できません。

保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の期間がある場合は、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が少なくなります。しかし保険料免除・納付猶予期間中の保険料を追納することで老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることができます。追納できる期間は10年以内と定められており、保険料を追納した年は社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されます。
これらの点はしっかりと押さえておきましょう。

なお、国民年金の第1号被保険者が出産した際には、産前産後の国民年金保険料が一定期間免除される制度があります。この制度は、他の保険料免除制度と異なり保険料免除された期間も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます
この制度を利用する場合は必ず届出手続きが必要です。出産後の届出もできるので利用しましょう。

・厚生年金の場合

厚生年金にも支払いの免除が認められる制度があります。
産前産後休業期間中の保険料免除」は、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠あるいは出産のために仕事ができなかった期間の支払いを免除する制度です。
産前産後休業期間中に事業主が年金事務所に申し出をすることで、厚生年金の被保険者と事業主の両方の負担額が免除されます。
また、満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間も支払い免除の対象です。
こちらも事業者が申し出ることで、負担額が免除されます。

「繰上げ」・「繰下げ」受給



老齢基礎年金・老齢厚生年金は65歳から受け取ることができます(※3)が、「繰上げ受給」と「繰下げ受給」のいずれかを選択して、年金の支給開始年齢を早めたり遅らせたりすることができます。
※3 所定の要件を満たした方は、60歳から65歳になるまでの間、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。

「繰上げ受給」とは、本来の支給開始年齢を早めて受給することです。
「繰下げ受給」とは、支給開始年齢を遅らせて受給することを指します。

一概にどちらかが得ということは言えませんが、双方のメリット・デメリットを紹介しておきます。

・繰上げ受給

年金の受給開始は原則65歳からですが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間で年金受給開始を繰上げることができます。ただし、年金額は65歳で受け取る場合に比べて少なくなります
繰上げ受給を選択した場合、どのくらい年金が減額されるのでしょうか?

昭和37年4月2日以降生まれの方の場合、65歳から1か月ごとに繰上げるにつれて、老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれ0.4%(※4)ずつ減額され、最終的に60歳0か月まで繰下げた場合は24%減額されます。
※4 昭和37年4月1日以前生まれの方の場合、減額率は0.5%となります。

留意すべき点は、おもに以下の点です。
①繰上げ受給をすること繰り上げた月数に応じて年金が減額され、その年金額は生涯変わらない
②繰上げ請求を取り消すことや、国民年金保険料の追納ができない
③老齢基礎年金と老齢厚生年金は合わせて繰り上げ受給の請求をする必要がある
④寡婦年金や障害の程度が重くなった場合に障害基礎年金を受け取ることができない

・繰下げ受給

繰下げ受給とは、年金の受取開始を65歳ではなく66歳以後にするということです。
年金の繰下げは66歳から1か月繰下げるごとに0.7%増額され、75歳(※5)に到達すると最大で84%増額となります。増額された年金額を生涯受け取ることができます。
※5 昭和27年4月1日以前の方は70歳まで繰下げが可能です(最大42%の増額)。
繰下げ受給の場合、繰上げ受給のように、国民年金と厚生年金を同時に繰下げなければいけないという決まりはありません。

年金が増額する一方、デメリットとして挙げられるのは、「加給年金がもらえなくなる場合がある」ということです。
「加給年金」とは、被保険者期間が20年以上ある人が、65歳になった時点でその方に生計を維持されている配偶者・子(年齢制限あり)がいるときに、配偶者が65歳になるまで厚生年金に上乗せして支給される年金です。
繰下げ受給を選択して70歳で年金受給を開始したときに、妻の年齢がすでに65歳になっていれば加給年金は支給されないことになります。

まとめ

いかがでしたか?

今回は年金の保険料支払い開始年齢や年金受給開始年齢をそれぞれ説明してきました。
少子高齢化の影響等により、将来的に受給開始年齢が引き上げられたり、年金額の見直しがある可能性は否定できません。

そのようなリスクを鑑みながら、資産運用などでゆとりあり老後生活資金や、遺された家族の生活資金を確保していく方法も考えていく必要があるでしょう。

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出典

「令和5年4月分からの年金額等について」(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2023/202304/0401.html

「年金Q&A(国民年金の保険料)」(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/faq/kokunen/seido/hokenryo/20150331.html

「厚生年金保険料の保険料」(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-01.html

「加給年金額と振替加算」(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html

「老齢年金ガイド令和5年度版」(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03.pdf

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