幼稚園の無償化を詳しく解説。対象は?手続きはどうする?

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幼稚園の無償化を詳しく解説。対象は?手続きはどうする?

幼稚園の無償化が2019年10月1日にいよいよスタートしましたが、自分の子どもは対象なのか、幼稚園の費用は全額無償になるのか、どのような手続きが必要なのかなど、さまざまな疑問点があるかと思います。

そこで、対象となるお子さんや施設、費用、申請方法などをまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。

幼稚園無償化の制度について


2019年10月1日にいよいよスタートした幼稚園の無償化について、まずは誕生した背景などを改めてご説明します。

幼稚園が無償化になる背景


2019年10月1日より幼稚園などの施設が無償化になる「幼児教育・保育の無償化」制度がスタートしました。その背景には、子育てや教育にお金がかかりすぎるからという理由で、20代から30代の若い世代が理想とする子供の数より少なく子供を持つことが最大の理由といわれており、教育費への支援を求める声が多かったことが挙げられます。子供の教育費を無償化することで子育て世代の経済負担を軽減し、すべての子供が質の高い教育を受けられるようにすること、さらに消費税増税による税収分を国民に還元するということも大きな背景になっています。

幼稚園にかかる教育費の内訳


それでは実際に幼稚園ではどの程度の教育費がかかっているのでしょうか。
文部科学省の「平成28(2016)年度子供の学習費調査」によると、学習費総額が公立幼稚園では23万3,947円、私立幼稚園では48万22,392円の費用がかかるという報告あります。
公立幼稚園では学習費総額の51.5%にあたる12万546円、私立幼稚園では66.1%にあたる31万8,763円が教育費に相当しています。このように、幼稚園にかかる費用の主な内訳は教育費が半分以上占めていることがわかります。

無償化はいつから実施される?


「幼児教育・保育の無償化」制度は、2019年2月12日の閣議で「子ども・子育て支援改正案」が正式に決定し、2019年4月に衆議院、2019年5月に参議院で法案が正式に決定しました。当初「幼児教育・保育の無償化」制度は、2019年4月から一部実施し2020年4月に全面実施の予定でしたが、前倒しになって2019年10月からの全面スタートになりました。前倒しになった背景には2019年10月より消費税増税が実施されることがあり、子育て世代の負担に配慮して消費税増税と同時期に幼稚園の無償化がスタートされることとなったのです。

幼稚園無償化の対象となる条件とは?

幼稚園無償化の対象となる条件とは?

さて、今回スタートした幼稚園の無償化の制度ですが、どのような条件の子供や施設が対象となるのでしょうか。

対象となる子供や施設


幼稚園の無償化の対象となるのは、3歳から5歳の幼稚園、保育所、認定こども園などの施設を利用している子供が対象となります。原則満3歳になった後の4月1日から小学校に入るまでの3年間が対象となっています。また障害児の発達支援施設も対象です。さらに、認可外保育施設に加えて、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業の施設も対象となっています。

また、住民税非課税世帯の場合は0歳から2歳までのクラスの子供たちも対象になります。
さらに、子供が2人以上の場合、保育所などを利用する最年長の子供を第1子とし、0歳~2歳までの第2子は半額、第3子以降は無償となります。

対象外になる子供や施設


住民税非課税世帯ではなく、0歳から2歳の子供が保育所などを利用した場合は対象外になります。
それ以外では、インターナショナルスクールや朝鮮学校などは現在のところ、無償化の対象外となっています。
また、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設を利用している場合、無償化の対象となるためには、保育の必要性の認定事由に該当することが必要です。たとえば、共働きでフルタイム勤務をしていて長時間子供を預かってもらう必要があることなどがあります。

公立と私立での違い


幼稚園の無償化に関して、公立と私立の幼稚園で無償化の違いがあるのか、という疑問を抱かれる方も多いかと思いますが、この制度にはその区別はなくすべての幼稚園が対象となっています。しかし、助成される金額の上限が月額2万5,700円と決まっており、公立の場合は月額の利用料がその範囲内で収まる施設も多いと思われますが、私立の場合は上限の金額を超えてしまう場合も多く、上限を超えた金額に関しては今までどおりの自己負担になるので注意が必要です。

所得の上限の有無について


幼児教育・保育の無償化は、所得の上限なしで無償化の制度を利用することができます。条件に該当すれば、3歳から5歳のすべての子供たちが対象となります。所得の制限があると、働くママの働き方に制限をかけなくてはいけなくなったりするので、所得の制限がないのは働くママにとっても働き方を変更することなく制度を利用できるのは嬉しい限りでしょう。

専業主婦はどうなる?


今回の幼稚園の無償化の制度は、所得制限なども関係ないことから、専業主婦の方であっても3歳から5歳の子供の場合は無償化の対象となります。専業主婦と働くママとで差が出てくるのが、預かり保育の費用の部分です。14時頃に幼稚園が終了し夕方頃まで預かってくれる預かり保育に関しては、「保育の必要性の認定事由に該当すること」が条件となりますので、専業主婦の場合は今までどおり自己負担になり、注意が必要です。

幼稚園の無償化で補助される費用について



それではどの費用がどれだけ対象になるのかどうかを項目別にみていきましょう。

教育費・預かり保育は対象!

幼稚園の教育費は月額2万5,700円を上限として無償化になります。ただし、教育費のすべてが無償化になるわけではなく、内閣府の資料によれば「実費として請求されるものは対象外」とありますので、その部分は今までどおり自己負担になります。

また、幼稚園の預かり保育の費用の場合も無償化の対象に含まれており、教育費と合わせて月額3万7,000円までは助成されます。教育費の合算の内訳としては、教育費に上限の2万5,700円いっぱい利用したとしたら、残りの1万1,300円が預かり保育の費用として充てることができます。それを超えた部分は自己負担になります。

ただ、預かり保育の無償化を利用するために注意しなければいけないのは、「保育の必要性の認定事由に該当すること」が前提で、働くママの場合は対象となりますが、専業主婦の場合は対象外になります。

また、国の補助金の制度にはさかのぼって請求できるものもありますが、幼稚園の無償化の制度は過去にさかのぼることはできません。無償化の制度を利用される方で申請などが必要な場合は早めに手続きをされることをおすすめします。

給食費・送迎費・遠足代などの行事費は対象外

次に給食費や園への行き帰りの送迎費、また遠足代などの行事費に関しては、無償化の対象外になります。現在の給食費に関しては、第1号認定の3歳から5歳の子供はすべて実費、第2号認定の3歳から5歳の子供は副食費のみが保育料に含まれ、第3号認定の0歳から2歳の子供は全額保育料にふくまれていました。もし保育料に含まれる給食費を無償化の対象にしてしまうと、第1号認定の3歳から5歳の子供は全額実費で、第2号認定の3歳から5歳の子供は副食費が無償化の対象となり格差が生じるため、現行は無償化の対象外となっています。ただし、年収が約360万円未満の世帯の子供は副食費が免除の対象となります。また、全世帯の第3子以降の子供は副食費が免除対象になります。

また行き帰りのバス代なども地域によって金額の差はあるかと思われますが、こちらも助成の対象外となっていますので、幼稚園を探す場合はそのことも含めて検討されることをおすすめします。

遠足代などの行事費に関しても、対象外です。幼稚園ではさまざまなイベントを行っているかと思いますが、それは実費として請求される項目となりますので、対象外です。行事費なども各幼稚園によって金額は違いますので、幼稚園を決める場合は確認をしてから検討されることをおすすめします。

入園料、制服代、PTA会費などは?


幼稚園に入学する際に必要な入園料や制服代、PTA会費なども実費扱いとなりますので、無償化の対象外です。幼稚園を探す場合は、それらの費用も念頭に置いて諸費用がいくらくらい必要なのかを確認したうえで入園されることをおすすめします。

無償化制度を利用するための手続きは?



では、幼稚園の無償化制度が利用できるとなった場合に、どのような手続きが必要になるでしょうか。

手続きが必要な場合


現在、子ども・子育て支援新制度の幼稚園や認可保育所、認定こども園、地域型保育を利用している場合は、園と自治体で制度の利用手続きをしているため、幼稚園の無償化制度を利用するにあたり、とくに手続きは必要ではありません。

手続きが必要になる場合は、新制度へ移行していない幼稚園が対象となります。申請書類などは、基本的に幼稚園から配布される書類に記入をして、幼稚園経由で自治体に提出します。
また、保護者の就労などで預かり保育が必要な場合も、住んでいる自治体から「保育の必要性の認定」を受ける申請書を幼稚園から配布されるので、幼稚園経由で自治体に提出します。同じく認定こども園を利用されている方も同じような手続きが必要です。
認可外保育施設を利用されている方は、住んでいる自治体から「保育の必要性の認定」を受けると無償化の対象ですので、直接自治体の保育課などで申請の手続きをしましょう。

注意が必要なのは、幼稚園の無償化に関してさかのぼって申請することはできませんので、早めに手続きをすることをおすすめします。

申請書類の内容


次に申請書類の内容に関してですが、「保育の必要性の認定」要件を満たしているという証明が必要になります。その内容としては、就労(月48時間以上の労働)や、妊婦および出産、疾病または心身障害、同居親族の介護、災害復旧活動、求職活動、通学または職業訓練に通っている場合には証明が必要です。もしわからない場合は、お住まいの自治体にお問合せください。

また、自治体により定められた「施設等利用給付認定申請書」が必要です。これは、幼稚園の無償化の制度を受ける権利があることを自治体にお知らせする書類です。提出先も施設により異なりますので確認しておきましょう。申請が必要でない施設もありますので、各施設にお問合せください。

幼稚園の無償化に伴う支払方法は?



今回の幼稚園の無償化制度を利用するにあたって、支払い方法はどのように変更されるでしょうか。また、家計の負担はどの程度軽減されるのでしょうか。

支払いの方法の変更点


幼稚園や認可保育所、認定こども園などはお住まいの自治体から直接施設に支払われるので、利用料を支払う必要がありません。ただし、利用料が助成金を上回ってしまった場合は、対象外の費用と同じで自己負担になりますので直接施設に支払う必要性があるでしょう。

また、子ども・子育て支援新制度に未移行の施設の場合は、子供が通っている施設によって支払い方法も違ってきますので、お住まいの自治体に確認することをおすすめします。皆さんが利用されている施設や事業が発行している「提供証明書」や領収書などは自治体に提出になりますので、申請するまで大切に保管しておきましょう。

無償化による家計の負担


同時期に施行された消費税増税により、消費税が8%から10%に引き上げられました。この増税分は1世帯の1年間で3万~4万円程度の負担になるといわれています。無償化といえども、さまざまな活動費に関する実費やPTA会費など毎月かかる費用もあることで、一概に家計の負担が軽くなったとは言いがたい部分はありますが、少しでも幼稚園にかかる費用を助成してくれるのは非常にありがたいサービスだといえるでしょう。

たとえば幼稚園の無償化の制度で浮いた金額が、毎月2万5千円だとしたら年間で30万円ほどになります。それが3年間になるので90万円程度が幼稚園の費用として浮くことになりますので、その浮いたお金を子供の習い事にあてたり、投資を増額することもできるでしょう。

今はまだ幼稚園ですが、いずれは高校・大学と進学していくことになり教育費の額も増加していきます。浮いたお金を将来的な教育費の費用として貯蓄しておくのもよいでしょう。いつの間にか浮いたお金がなくなっていたというような事態にはならないように、しっかりと計画を立てて管理されることをおすすめします。

幼稚園無償化で懸念される今後の課題とは?



幼稚園無償化に伴い懸念される今後の課題はどのようなことがあるのでしょうか。

私立幼稚園での保育料値上げも?


幼稚園の無償化にともない、月額利用料の便乗値上げを実施される幼稚園もあります。そもそも無償化になる金額は上限が決まっていますので、上限を超えた費用は支払わなければいけなくなります。したがって、子供が通っている施設によっては支払う金額に変更がある場合も出てくるでしょう。

また、今回の幼稚園の無償化に伴い、さまざまな今後の課題もあります。

たとえば今回幼稚園が無償化になるにあたり、施設を利用したい子供が増えて、ただでさえ待機児童が多い場所はさらに希望者の増加につながる可能性もあります。それに伴い、利用したい子供を受け入れる施設や保育士の確保も問題になってくるでしょう。保育士は常に不足状態が続いていますので、人の確保や待遇面の見直しも早急に対応していくべき課題といえます。

子育て世代が子育てをしやすい環境を整えるのも少子化対策の1つになりますが、保育士の確保や保育を提供できる場所の確保も同時に対策していかなければいけない課題となっています。

まとめ



幼稚園の無償化がスタートしましたが、実際のところ幼稚園にかかる費用がすべて無料になるわけではありませんでした。教育費を中心として上限があり、それを超えた部分の費用は今までどおり自己負担になります。公立の幼稚園では上限に収まる場合も多いかと思いますが、私立の幼稚園では上限をオーバーしてしまう施設がほとんどになるでしょう。

また、実費の部分や給食費、園への送迎費なども対象外になりますので、無償化といえども毎月支払う金額がまったくなくなるわけではありません。そうはいっても、3歳から5歳の子供に対しては所得制限もなく毎月2万5,700円は無償となり、家計への負担も軽減されます。半面、この制度をスタートすることにより保育士、施設の確保も今後の課題となっているのが現状です。

国からの補助を増額して保育士の数の確保、待遇の改善、施設の確保に全力で取り組み、待機児童問題を解決していくべきでしょう。
幼稚園の無償化にはさまざまな条件があり、負担額も施設によって変わりますので注意が必要です。今回の記事を参考に必要に応じて手続きを行いましょう。

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