自動車保険について「等級について①[ノンフリート等級]」

ノンフリート等級のしくみ

自動車保険の中で、理解が難しいといわれているのが「ノンフリート等級」制度です。

自動車保険は事故リスクの大きさにあわせてさまざまな割増引がありますが、過去の事故歴によって決まる等級は、保険料に特に大きく影響します。この記事では、等級のしくみと、等級が保険料にどのように影響しているのかについてご紹介します。

保険料に影響する等級のしくみ

自動車保険の等級とは、契約者の前契約の有無や事故歴により、保険料の割引率や割増率を決めるための区分です。

等級制度は任意保険にのみ採用されていて、強制保険である自賠責保険にはありません。等級は1等級から20等級まで区分されています。数字が大きくなるにしたがって、保険料は割引されます。反対に、数字が小さくなると、保険料は割増されるしくみです。

たとえば、ある保険会社の商品では、20等級の割引率は63%(無事故等級の場合)になり、一方で1等級では64%もの割増となっています。

等級は、契約者の前契約の有無や事故歴により毎年変わります。

初めて自動車保険に契約する場合は6(S)等級となります。そのあと1年間無事故だった場合、翌年の等級が1つ上がります。

もしも事故で保険金の支払いがあった場合には、翌年の等級が下がります。

また、7等級以上は、事故の有無によって保険の割増引率が異なっています。下記の図のとおり、等級が大きくかつ無事故であるほど保険料が割引となり、等級が小さくて事故歴もある契約ほど、保険料が割増となります。

図 等級割引のしくみ

図 等級割引のしくみ

等級に影響する事故の種類

保険期間中に事故が発生した場合、事故1件につき翌年の等級は3等級下がることになりますが、事故の原因や内容によっては、1等級だけ下がる事故や、事故件数として数えない事故もあります。

下記別表の通り、1回の事故で支払われる保険金が人身傷害補償や無保険車傷害のみの場合、「ノーカウント事故」となり等級には影響しません。それに対して、一定の車両保険を使用して保険金を受け取った場合は「1等級ダウン事故」となります。ノーカウント事故や1等級ダウン事故に当てはまらない事故は「3等級ダウン事故」と分類されます。

事故の種類

事故の種類内容等級への影響
ノーカウント事故1回の事故で支払われる保険金が人身傷害補償や無保険車傷害のみの事故など事故件数に含まれず、翌年の等級が通常通り1つ上がる
1等級ダウン事故火災や盗難、落書きなどによる車両保険金の支払いのみの事故など翌年の等級が1つ下がる
3等級ダウン事故ノーカウント事故や1等級ダウン事故に当てはまらない事故翌年の等級が3つ下がる

※事故の分類基準の詳細は保険会社によって異なります。

同じ等級でも事故の有無で変わる保険料

基本的に等級は高いほど保険料が割引されますが、7等級以上の契約者の場合、事故で保険を使用することで「事故ありのドライバー」となり、保険料が割増されます。

そのため、同じ等級でも、「事故ありの等級」は「事故なしの等級」よりも保険料が割高となっています。

保険料が割増される期間は、事故の件数や内容によって変わります。3等級ダウン事故があった場合は1件につき3年、1等級ダウン事故では1件につき1年が加算され、6年間が上限となっています。このように、事故で保険金の支払いがあった回数が多いほど、翌年以降の保険料の負担は大きくなります。

保険料の負担を重くする事故を未然にふせぐためにも、普段から安全運転を心がけることが重要です。

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張替愛(K&Bプランニング小澤美奈子監修)